ハチドリ日記

聡明で繊細、ギフテッド児子育て日記

【オーバーフローについて】

Aは、初めて参加する集団活動等では、固まることがあります。


そこで出される指示などを理解していないわけではないのですが、恐らく取り込む情報が多すぎて、またそれにどう対応すればよいのか考えすぎて、まさに石になってしまいます。

 

また、何気ない会話も苦手。


「今日はどこに行ってきたの?」「学校は楽しい?」といった、ただの会話の糸口のための質問には答えにくい。
また、「好きな色は?」「何をして遊ぶのが好き?」といった質問にも答えないことが多いです。

 

親の想像ですが、恐らくAはそうした何気ない質問に、「この人の真意は何だろう?」「何をジャッジしようとしているのか?」と深く勘ぐってしまうようです。

 

また、Aが答えないので、よかれと思って「外で遊ぶのが好き?本を読むのとか?あっ、ゲームが好きかな?」など質問を畳みかけられると、更に黙り込みます。

 

この現象をどう名付ければいいのか…と思っていたところ、ぴったりくる言葉が「オーバーフロー」。
色々考えすぎて、固まってしまう。

 

もう少し成長して技巧的になれば、いつも無難な答えを出すための思考パターンを覚えたり、「う~んと~、なんだろうな~」「何だったっけな~」などの時間稼ぎ/様子見の言葉が出るようになるのか…。

 

今のところ彼の解決策は、「はい、お母さん答えてっ」と他人に振る、です…。

【過興奮性(OE)に、どう接するか】

ギフテッドの特徴の一つであるOverecitability。


精神運動性OE、知覚性OE、想像性OE、知性OE、感情性OE と5種類あると言われますが、Aは感情性が過剰です。
恐らく精神運動性OEが吃音にも関わっているように感じますが、感情的に激しい以外は、今のところあまり支障はありません。

 

感情が激しいので、
ーすぐ怒る。
ーいつまでも怒る。
ー泣き叫んで怒る。
ー癇癪を起こす。

これは、本人はもちろん辛いでしょうが、親も結構辛いです。

今やろうと思ってたことを言われた(着替えなさいよ、とか)、今使いたいものが見つからない、雨で予定が変わった。
そういったことに地雷があり、これを踏むと癇癪を起こす。

 

これについては、臨床心理士の先生からもアドバイスをいただき、①共感→②タイムアウト→③言語化、の手順で対応しようと心がけています。

①共感:
感情に善悪や正誤はなく、ただただ感情の波が襲ったということだけ共感する。
全然大切にしていなかった物がなくなったとしても、親の形見を失くしたくらいの絶望を感じるのかもしれないと理解する。

 

タイムアウト
 場所を変えたり、そっとしておくなどして、クールダウンする。 

 

言語化
○○が○○で○○だったんだね、泣き叫んでも周りが困るだけだから、そういう時は○○するといいかもね、など言葉にする

 

が!これが難しい。

まず、何回も連続して爆発されると、こちらも①共感が難しくなります。

正直「また?」となりますし、登校時間が迫ったりします。

②はもうほっておくとして、③の言語化は私も苦手なのです。
そこはAの親、言語化が苦手なのは親も同じ。

 

OEには全然うまく対応できないのですが、「そういう性質がある」と理解するだけで、随分と親の心は救われているように思います。

【1年生夏休みの宿題が…辛い…】

夏休みといえば宿題。
学童は朝と夕方に学習時間があり、結構長いので、長男はあっさり夏休みの宿題を終わらせていました。

 

これが、Aはやってこない。


夏休みの宿題は、


①ドリル
 ギフテッドの子の多くが苦手といわれる反復練習。Aも大嫌い。まずもって、数字もひらがなも漢字も、書くこと自体がイヤ。

 

朝顔の観察
 絵を描くのが苦手。微細な運動が苦手だからなのか、理想が高いのか、考えたことを具現化するのが苦手なのか。

 

③絵日記
 ②と同じく嫌い。

 

朝顔の方は、説明なら何とか書けるけれど、何でもいいから書くというボヤっとしたお題は、文章も苦手。

何とかドリルは少しずつ一緒にやりました。
絵日記と観察日記は、絵はアイテムを並べた感じに。(人と、食べ物と、車がバラバラ書いてある)
文章は、本人が出す語彙を親が文章にして、それを本人がイヤイヤ書くという口述筆記状態。

 

まだこの頃は、学校側も特性への理解が十分でなく、「宿題をやってこない→本人はナメていて、親は十分指導していない」という受け止め方だったので、親子共々しなくてもいいような苦労をした夏休みでした。

【勝手に決められて、急に言われる予定は許せない!】

共働きということもあり、お友達と家を行き来して遊んだり、送迎の必要な習いごとは難しい。


とはいえ、できるだけ子どもたちには様々な体験を提供したいと、土日は私の方で、予定を入れることがあります。

地域のお祭りとか、○○体験イベントとか、無料○○教室とか。

 

忙しいこともあり、予め子どもたちにその予定をしっかり伝えることもなく、金曜日に「明日○○に行くよ~」ということもしばしば。
長男は基本的に、「やったー」という感じだったので、その調子でやっていました。

 

が、Aはこれが大嫌い。


「行かない」「そっちが勝手に決めたんでしょ」「家でゆっくりしたいのに」と大反対にあうことが増えてきました。

 

今から考えれば、
・初めての場に戸惑う。
・普段の生活でも情報過多なので、疲れている。
・予定が見えないことは、落ち着かない。
という性格(特性)の結果なのですが、私からすると「めんどくさい」。
だって、抽選だったりして、予定が分かるのもそんなに前からじゃないし、親の予定の都合もあるし。

 

こちらについては、後日発達検査の結果から文献などを読み、ギフテッド特有の性質を知ってからは、工夫することにしました。

 

①A専用のカレンダーを貼り、予定を書き込む。
 →親も人間だから書き忘れることもあるけど理解してね、と言っておいたところ、結構寛容。

 

②申込の前に、さわりだけ予告する。
 →細かく説明すると、気後れするのか「行かない」と言うので、ふわっと。

 

カレンダー効果は絶大で、自分のコントロール下にあることには平静なんだな、と実感しました。

【1年生の夏休み 学童での過ごし方】

予約を待ちながらも夏休み期間ということで、学校からの電話や連絡帳での苦情から離れ、親は平和に過ごしていた夏休み。

 

2週間ほど経ったとき、学童の連絡帳に長いメッセージが書いてありました。


内容は、「最近Aくんの気持ちが荒れているようで、昼食時間中に喋ってしまったり(コロナ禍で黙食)、勉強時間に大声をあげたりしている。何か家庭でありましたか?」とのこと。

夏休み中は、学童から一人帰りしていたので、先生方も保護者と話すことができずに連絡帳になったよう。


「実は前から学校ではそんな感じなんです、すみません。宿題などは無理にやらせなくて大丈夫です。」と返信したところ、「分かりました、工夫してみます」とのこと。

 

Aの態度は反抗期の中学生の男の子に似ているところ、たまたま学童の先生は中学校教諭をリタイアされた方ということで、まるで中学のような指導が続いたようです。

 

それが良かったかどうかは分かりませんが、学童は学校と異なり自由行動が多く、先生方も「教員です!」という人よりも、もう少し地域の人という感じ。

「イヤならいいよ、やんなくて」というゆるやかさで、学校ほどは荒れずに過ごしていた夏休みでした。

【児童精神科探し】

私たちが住んでいる自治体は、首都圏にはありますが中心部ではありません。


児童精神科も多くなく、大きな病院にはありますが、予約待ちが多くて7月初旬に時点で予約が10月以降というケースも。
が、担任の先生からは、「夏休み中に受診して、できれば問題行動を解決して新学期登校してほしい」という期待をひしひしと感じます。

 

この時点で、問い合わせた医療機関は次の通り。

 

自治体の療育機関
 →予約が取れない。遠くて定期的に通うのは難しそう。


②近隣政令指定都市の療育センター
 →予約が取れない。原則自治体在住者のみ。


③大病院・中核病院の児童精神科
 →予約は半年先。


④個人クリニック
 →初診から毎回カウンセリング料と予約料がかかり、通うと結構な出費に。
  どんな先生なのか、情報がない。

 

私の勤務地である政令指定都市では、小学校からの紹介や保護者の希望により、特別教育支援センターで発達検査を含む就学相談ができます。(無料)


当然そういうシステムがどの自治体にもあるのだろうと思ったら、居住地の自治体には無いとのこと。

 

特に家庭が困っているわけでもないのに、有料の相談や検査はイヤだなあ・・・と思いつつ、まずはかかりつけ小児科医を受診しました。
(学校への「医療機関にかかりましたよ」というアピール)

 

かかりつけ小児科医は、話を大体聞くと、


「なるほどね。君はね、賢いんだよ。そういう子って、昔からいるんだよね。教室では、まあ周りに迷惑をかけないように流して、あと落ち着ける場所があるといいね。今校長室に行けているなら、ちょうどいいね」とのこと。

 

後から考えると、色々すっ飛ばしてその見立ては正しかった。

 

「学校からは、診断をつけて欲しいとリクエストされているのですが…」と伝えると、「うちでは検査はできないけど、3駅先にいい先生がいるので、そこを受診してみてはいかがでしょう」とのこと。

 

とりあえず言われた通り受診はしたぞ、ということである程度満足して帰宅しました。
そして、紹介されたクリニックを検索したところ、初診予約は3か月待ち。

 

結局、駅からちょっと離れているけれど、予約を受け付けているクリニックに1か月後の予約を入れたのでした。

【 教育相談員との面談】

Aの学校には、スクールカウンセラーのほかに教育相談員という方がいます。
元教員の先生で、担任の先生の心の支えのようで、担任の先生からは教育相談員への相談を強くすすめられました。

 

が、これが平日昼間で毎週固定曜日。


仕事の都合もつかないし、正直なところ困っているのは学校で保護者ではないし(困っているのは学校から苦情が寄せられること)、なかなか実現しなかったのですが、「夏休み前に是が非でも!」という訴えにより、面談に行きました。

 

その中では、
①Aくんの様子を時々見ている。教室内で立ち歩いている。
②教育相談員と2人だと、穏やかに色々なことを話してくれる。
医療機関の受診を勧める。
④情緒障害の通級教室があるので、通ってみては。
⑤定期的に保護者と面談を。 とのこと。

 

④⑤は、やっぱり平日で複数回ということで、現実的には難しいところ。
家庭の環境が安定していることが一番だと思うので、仕事を不安定にすることは避けたい。

医療機関の受診については、知能検査に関心があったこともあり、いいかなと思いました。
ただ、Aの住んでいる自治体は、教育委員会でのルートがなく、自分で児童精神科を受診してほしいとのこと。

 

ずいぶん遅れているなと思いましたが、結果的には良かったかなと思っています。

 

なぜなら、ギフテッドの困難を多く見てこられた臨床心理士の先生につながったから。